健康診断や人間ドックはなんとなく想像がつくけれど、日ごろ目には見えない頭の中=「脳」の検査となると、どこのなにを見るのかイメージがわきにくいという方も多いのではないでしょうか。そこで、ここでは「脳ドック」でわかることやその目的、有効性などについて、簡単に解説していきます。

脳の病気とその原因とは

全身のあらゆる活動をつかさどる脳は、心臓とならび人間が生きていくうえで非常に重要な器官であり、いわば神経系の中枢です。そのため病気になると生命の危機や重い後遺症(半身麻痺など)があるとおそれられています。

脳血管障害(脳血管疾患)を引き起こす主な要因としては、脳動脈瘤や動脈硬化、また、その引き金となる高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が挙げられます。

ただ、遺伝的な(家系=血縁者に脳卒中を発症された人がいるような)ケースというのも実は少なくありません。

しかし、検査によって定期的に脳や血管の状態を確認し、予防や早期発見ができれば発症の多くを未然に防ぐことができます。

脳ドックとは

脳ドックでは、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や、その原因となる脳動脈瘤、動脈硬化性疾患などの兆候がないかをチェックします。チームメディカル健診クリニックでは3テスラのMRIを用いて、頭部MRI、頭部MRA、頸部MRAの検査をおこないます。

一般的な健康診断や人間ドックの場合、脳の画像診断は検査内容には含まれていません。もちろん健診やドックの血液検査の結果(各項目の数値)から脳卒中などの疾患の兆候があらわれていないかを推測することはできます。けれども、血液は採取した時点の身体の状態によってほかの病変(たとえば風邪)でもなんらかの反応を示す場合もあるのです。

そうしたことをふまえると、脳の「現状」をより詳しく知るためには、やはり脳ドックを受診することが近道であるといえます。

MRIとMRAの違い

ところで、「頭部MRI、頭部MRA、頸部MRAの検査をおこないます」とありますが、そもそもMRI・MRAとはいったいどんな検査で、なにが異なるのでしょうか。

・MRI(Magnetic Resonance Imaging):磁気共鳴画像
・MRA(Magnetic Resonance Angiography):磁気共鳴血管画像

使用する医療機器は同じですが、一言でいうなら「なにを画像化するのか」が違うということです。脳の検査を例に挙げて説明してみましょう。

頭部MRI検査

頭部MRIでは主に死亡リスクの高いくも膜下出血や脳梗塞、脳出血などの病変の手がかりを調べます。

MRIにはさまざまな撮像方法があり、それらの画像を組み合わせて疾患の診断をおこないます。たとえばT1強調画像、T2強調画像、FLAIR(フレア)、拡散強調画像(DWI)などがあり、それぞれの画像モードで特徴があります。

T1強調画像:脳に損傷があった場合に把握しやすい
T2強調画像:水が溜まったところ(脳梗塞やむくみなど)が白く強調される
FLAIR(フレア):脳の病変を写し出すのに適している
拡散強調画像(DWI):脳梗塞の病変を写し出すのに適している

上記のような点から、頭部MRIは特に脳梗塞の早期発見に有用な検査だといえます。

頭部MRA検査

頭部MRAでは主に血管の狭窄や脳動脈瘤、血流異常、くも膜下出血などのスクリーニング(ふるいわけ)をおこないます。

基本的に頭部MRAでは造影剤を使用せずに頭部(脳)の血管の状態を立体的に画像化していきます。撮像したデータをコンピュータ上であらゆる角度から三次元で表示・確認できるので、くも膜下出血の原因となり得る脳動脈瘤のスクリーニングに適している検査だといえます。

その中で、血管の狭窄や閉塞などの異常が見られた(脳血管疾患が疑われる)場合には、二次検査として造影剤を用いた撮像などがおこなわれることもあります。

頸部MRA検査

頸部MRAでは主に頸動脈の動脈硬化性疾患の兆候を調べます。

頭部MRAと同様に、頸部MRAでは造影剤を使用せず頸部(首)の血管の状態を立体的に画像化していきます。

首には太い血管(頸動脈)があり、頸動脈は心臓から脳へ酸素や栄養分を送り届ける重要な役割を果たしています。頭部MRIや頭部MRAと並行して頸部MRA検査で脳梗塞の原因となり得る頸動脈の狭窄や閉塞の度合を確認することで、より確実な診断を目指します。

ただ、「頸部MRA」は必ずしも脳ドックのメニューに含まれているとは限りません。チームメディカル健診クリニックの脳ドックには頸部MRAも含まれますが、頭部MRIと頭部MRAのみという病院もありますので、気になる方は予約をする前にまずプラン詳細を確認しておきましょう。

さらに確かな診断を受けるためには

冒頭で述べたように脳血管障害(脳血管疾患)を引き起こす主な原因としては、脳動脈瘤や動脈硬化、またその引き金となる高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が挙げられます。

脳血管疾患の発見のために、脳ドック(頭部MRI、頭部MRA、頸部MRA)で脳や頸動脈の現状を把握し、脳梗塞、脳動脈瘤や動脈硬化などの兆候をチェックすることは非常に大切です。

しかし、脳ドックだけでは確かめきれない部分、脳卒中のそもそものきっかけとなり得る高血圧や糖尿病、心臓病などの疾患をスクリーニングするためには、血液検査や眼底検査、心電図検査など、人間ドックでおこなう項目もやはり必要不可欠です。

これまでにまだ一度も、もしくは前回の受診時から1年以上人間ドックを受けていないという方や、遺伝的な要因が心配という方などは、「人間ドック+脳ドック」で全身を検査することをおすすめします。