突然ですが「人間ドック」と聞いて思い浮かぶイメージって、どんなものですか?

いや、仕事柄ですね、ときどき周りの人に言うのです。
「ちゃんと定期的に受けたほうがいいですよ、人間ドックは」と。

そうすると出てくるわ出てくるわ…

「うんうん、だけど忙しくてね~」
「早起きつらいんだわ」
「前の日お酒飲めないじゃん(笑)」
「最近太った気がするからあえて現実知りたくない」
「だって高くない?」
「ああいうのってすごい待たされるでしょ?その時間あったら仕事片づけたいんだよね」
「会社の健診は受けてるから大丈夫だよ」
「もし何か見つかったらどうするの!」
「こわい…」

はい。よーくわかります。

今でこそクリニックで働いていますが、まったくの異業種から医療業界へと移った身です。みなさんの気持ちは転職前に自分が感じていたそれとほとんど同じです。

以前勤務していた企業では、年に1回、生活習慣病予防健診を受けていました。毎年決まった時期になると通達が来て受診するよう促され、候補日程をいくつか伝えれば会社が予約をおこなってくれ、費用も負担してくれ、こちらは当日指定の病院へ行くだけ。

結果が届いても各項目をじっくり確認することはなく、体重や体脂肪率の増減に一喜一憂して、あとは「異常あり」や「再検査」などの文字が判定にないかどうか目を通すくらい。

ひとつひとつの検査の意味なんて、たいして気にも留めていなかったものです。

正直「受けていた」というよりも「受けさせられていた」という感覚で、ありがたいことに大きな病気になることも特になかったので、とにかく「めんどくさい」が先行していました。

健康診断でさえそんな感じでしたから、人間ドックなんてそれはそれはもう遠い存在。

でも、「人間ドック」っていったいどんなものなのでしょうか。
よく聞くわりには、知っているようで意外と知らなくないですか?人間ドックのこと。

そもそも人間ドックとは、船を修理・点検するための設備である「dock(ドック)」に由来していて、わたしたち人間の身体を船に見立てて、定期的にそのメンテナンスを行うという、予防医学の観点から考えられた、日本特有の“任意の健康診断の一種”なんです。
(※かなりの頻度で間違われていますが、人間ドッグではありません…)

そう言ってしまうと「だったら普通の健康診断を受けていれば問題ないじゃないか」と思うかもしれませんが、こころとからだの健康を上手に維持しながら日々の生活を送り続けるために、「人間ドック」について知ってもらいたいことが実はたくさんあります。

なぜ「健康であること」が重要なのか

長生きを願うのは世の常ですが、最近は単純に長く生きることを目標とするのではなく、「健康寿命を延ばす」ということが重要視されていますね。

健康寿命を延ばすということは、いつまでも元気で自由に動ける自分でいる=自分らしく生きる時間をそれだけ長く楽しめるということだからです。

そして、この超高齢化社会だからこそ、人の手をなるべく借りずに自分で自分の身の回りのことができて、すこやかな生活を送り続けることができれば、自分自身の医療費だけでなく国の負担を抑えることにもつながり、それはずっと社会に貢献し続けているということにもなるからではないでしょうか。

気づかないことのおそろしさに気づこう

健康でありたいのに、その邪魔をしてくるのが「病気」です。ただ、一口に病気といってもいろいろな種類があります。例えば目が腫れたり、皮膚がかゆくなったり、頭が痛くなったり、熱が出たりするように、明らかにおかしいとすぐわかるものもあれば、表面的には何も変わらず、自覚症状もなく、しかし体内にはすでに潜伏していて静かに発症までのカウントダウンが始まっているようなパターンもあるのです。

前者だったら病院へ行ってお医者さんに診てもらって薬を出してもらうこともできますが、後者の場合は別に何もなければなかなか気づきません。仮に、血圧がとても高かったとして、それに気がつかないままその状態が長く続いた場合、どうなってしまうのでしょうか。

血圧とは、心臓から送り出された血液が血管を通るときに血管の壁にかかる圧力のことです。高血圧は文字どおりその圧力が高い状態を指します。血圧が高いと心臓や血管に負担がかかりやすく、ダメージを受けやすくなります。そしてダメージを負った血管は硬くなったり、狭くなったり、詰まったり、突然切れたりしてしまうこともあります。

「自分を知る」ことは「大事な何かを守る」こと

そういったことが原因となって脳卒中を発症してしまったとした場合、さまざまなリスクが考えられます。一命は取り留めても後遺症などでしばらく働けなくなるという可能性があるだけでなく、入院でかなりのお金がかかることが予想されます。心身だけでなく、経済的にも相当な負担を強いられる危険があるということなのです。

でも、定期的に健康診断を受けて今の自分を守るだけではなく、人間ドックでもっと細かい組織や気になるところの検査をピンポイントに受けて、自分の身体の健康状態をきちんと把握することができていれば、未来の自分も守ることができ、さらに、将来的に医療や介護の負担をかけないという意味で、周りの大切な人たちを守ることにもなるのです。

知ったところでどうすればいいの?

例に挙げた高血圧だったら、塩分を摂り過ぎない。それだけでも血圧を下げる効果が期待できます。ほかにも、大量にお酒を飲むのを控えたり、ストレスをなるべく溜めこまないようにしたりと、できる対策は人それぞれにたくさんあるのです。

自分の状態を知ったところでどうしていいかわからないと思う方もいるかもしれませんが、まず自分の抱えている問題点に気づかない限り、できることは何もありません。気づくためには気づける環境に身を置くことが必要です。そうすることによって、専門家のアドバイスを受けることができたり、自分の生活習慣や性格などもふまえたうえでその症状とこれから先どう付き合っていけばいいかを知ることができるのです。

また、知ることができれば、ほかの臓器に悪い影響を及ぼしていないかを確認する道しるべにもなってくれます。脳や心臓の血管に問題が出てきていないかなど、その時点で考えられるリスクをチェックして発病を未然に防ぐ先回りをするのです。そうすることができれば、その延長線上に潜む病魔たちをそのまま目覚めさせずに過ごしていくことができます。

知っているのと知らないのとでは、それだけ将来の発症リスクが変わってくるわけです。

人間ドックをもっと身近に感じてほしい

人間ドックは、一般的な健康診断より検査項目が多いので、健診には含まれていない機能や疾患まで調べることができます。また、自分の気になる器官や心配な病気の検査を必要に応じて選んで受けるということも可能です。

かつての自分はもちろんそんなことすら知りませんでした。

そのくせ人間ドックに対して「面倒」などとネガティブなイメージを勝手に抱いていました。

だからこそ、自分がこの業界に移ってから目の当たりにした現実や、それまでちっとも知らなかったこと、知っておくべき大事なことを、同じような感覚の人たちに伝えていきたい。

そして、いつまでも健康的に楽しく暮らしていくために「人間ドック」をもっと身近なもの、日常の習慣として生活に取り入れてほしい。

そんな想いを込めて、そのお役に立つ情報を「チームメディカル健診クリニック」発のこのブログでお届けしていきます。